「作業が好き」からリペアの世界へ|女性のみの工房「リペアシング」のリペア職人インタビュー
今日はよろしくお願いします!
早速ですが、これからリペアやりたいなという方が参考にされる際には、いわゆる口コミだったり、リアルな声だったりされるんじゃないかなと思っています。なので、お二人にリペアシングに入ったきっかけや実際お仕事していてどう感じてらっしゃるのかなどをざっくばらんにお聞きできたらと。
リペアシングに入ったきっかけ
ではまず、お二人がリペアシングに入ったきっかけを教えてください。
きっかけは店長と一緒で、前職で一緒に働いていた時に新しく立ち上げる「リペアシング」に誘ってもらって、それで始めました。
前職では手を動かす作業というより接客業ばかりだったのもあって、やっぱり作業がしたかったからリペアシングに入ったという感じです。ここに入る人はみんな、多分そんな感じで「作業がしたくて」だと思います。
みんな手を動かすのが好き、ですよね。
なかなかない仕事ですしね。
なるほど。店長と同じタイミングでリペアシングに入られたんですね。
そうですね、同じ時に入りました。あともう一人、今は産休・育休中の子と一緒に3人でここに入ったって形ですね。
Eさんはどうでしょうか?
私も実はたまたま前職が同じ会社で、店長やKとは時期は被ってはないんですが、リペアシングの面接を受けている時に『同じ会社だったね』という風になりました。
リペアの世界に入ったきっかけは、前の会社ですでにリペアのことやこういう業種があるっていうのを知っていたからになりますね。
なるほど。そうなんですね。最近、リペアシングのような仕事も少しずつ増えてきてるかなというイメージはありますが実際のところどうですか?
そうですね、増えてきているとは思います。ただ、こういう仕事は見つけづらいのもありますね。検索の仕方とか、求人とか、探し方も難しくて。
関わっていたら知ってる方はいらっしゃるけど、という感じなんですね。まだまだ新しいお仕事ですね!
他業種からリペアの世界へ、その出会いときっかけ
前職からリペアの世界にいらっしゃるということですが、最初にリペアのお仕事をしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
私はずっと歯医者の受付とかをしてたんですが、なんかもう忙しくて。接客も忙しいし、いろんな人もいるし。そうじゃなくて、もうちょっと作業的な手を動かす仕事がしたいなと思って、たまたま探していて見つけました。子供が1人いるんですが、あんまり手間がかからない中学生ぐらいのタイミングだったというのもありますね。「作業」と検索して出てきたお仕事の1つだったので、前職に入ることにしました。
私は多分、その頃よく「シェアリング」というのがテレビで特集されてる時期があったと思うんですね。 ブランドバッグのやつで。それでテレビで『こういうのがあるんだ』と知って、手を動かすリペアに興味を持っていったという感じですかね。
ちょうどあれですよね。シェアのサービスが増えた頃ですよね。テレビの力って大きいですね。
リペアを始めてから知った驚きと魅力
リペアを始めた時に感じたことや、始められて『想像していたのと違った!』などのギャップがあったりすると思うんですが、何かもしそういう驚いたことがあれば教えていただきたいです。
私が若い時は、高校生でもブランドを持つ時代だったので、私もブランドを持っていましたが『流行りがあるから』と思って使えなくなったブランドも捨てきれず、ずっとクローゼットに収めていました。
でも、リペアを知って今は流行ではないブランドものも使ってもいいし、直せるんだと知りました。もう直せないものだと思っていたので『ああ、使ってもいいんだ』『これも直せるんだ』となってびっくりしましたね。あとは、ずっと収めていたブランドバッグをまた使い出したというのもありますね。また使えてよかったと思いました。
そうですね、なんというか『こういうところも直せるんだ』というのに驚きました。例えば、革の断面の「コバ」の部分もよれたら直せることは全然知らなくて。リペアをするにしても、ただ色が剥げたのを直せるぐらいのことだと思ってたんですが、結構直せる範囲が広いなというのは感じました。
あとは前職でも思ったんですが、リペアについて知識のない人や未経験の人でも、それでも数年するとすごく直すのが上手い人とかもいて。『1からでも始められるんだ』というのにはちょっと驚きましたね。いわゆるリペアの学校に行って、とか段階を踏んでいなかったとしても、やる気があって1からでもやろうと思えばできるんだなというのは驚きました。
『資格は要らないんだ!』って驚きましたね。
未経験でもリペアはやればやるほど、うまくなるという。
ほ〜。確かにリペア職人でないなら、普通は修理し終わったものしか見ないから『一体どんな技術者がいるんだろう』と思いますよね。資格のいらない手に職の仕事ってなかなかないですもんね。これはやってみたい人がいらっしゃるでしょうね!
心に残っているリペアのお仕事
1番印象に残っているリペアがあれば教えてください。
そうですね。バーキンとかいわゆる超高級なブランドバッグは持っていないので、触れて直せたのはすごい経験だなと思いました。そんな何百万もするものを扱うのは最初は怖かったんですが、今はもう全て「バッグ」として見て修理をやっているので。でも最初は怖かったです。『え、削っていいの?』『塗り直していいの?』となってました。だけど、やっぱり修理できた時は嬉しかったです。
私、コバの担当なんですが、「コバ溶け」と言って、コバの部分がキャラメルみたいに溶けるんですよ。バッグの中でもヴィトンとか特に溶けやすくて。もうベチャってキャラメルみたいに溶けて、服についてしまうこともあります。それを1度削って、塗り直しをしています。他の業者さんたちが『修理しない』と言ったものもやることがあるのでお客様には喜ばれますね。手は死にますけど(笑)
私はベタなんですが、1番最初にリペアを担当して、受付をしているLINEに喜びの声をいただいたバックが印象に残っていますね。
その時は、まだ始めたばかりで私自身はLINEでお客様と直接やり取りすることなかったんですが、『Eさんがやったバッグ、すごい喜ばれてますよ』というのを初めて聞いた時、嬉しかったです。それがシャネルのマトラッセでした。ベタなんですけど、1番最初に喜んでもらったバックがやっぱり印象に残ってます。
最初はどう反応されるか分からないからこそ、印象に残っていますよね。
これは「職業病だ!」
これは「職業病だ!」と思うようなことは何かあったりしますか。
やっぱり歩いてたら人のバッグは絶対見てしまいます(笑)
偽物とかではなくて、やっぱり『ああ、すごく汚れているな』とか『すごく擦れているな』とか気になっちゃいます。でも、自分のバッグは不思議と見ないんですよね(笑)
逆に私は、自分のバッグでちょっと擦れたりすると、『ちょっとやったら、すぐ治るのにな。』とか傷付いたところを見ちゃうという感じですかね。『これだったら、この色とこの色混ぜたらこの色になるのに』とか、直さないんだけど思っちゃいますね。
あと、買う時も友達に『それは買わない方がいい』『その色はちょっとね』とか言っちゃいますね。
確かに。『この素材はちょっと買わない方がいいかもね』とかね。
なので、私たちは結局黒買うことに(笑) いろいろと分かるからこそ遊べないこともあります(笑)
まさしく「職業病」ですね!(笑)ですが、買う時にそういう細かいところまで分かってるのはすごくいいですよね。長く使えるものが分かるっていうことですから。それはすごく知りたい!(笑)
ありがとうございます。(笑)
リペアの面白さ、魅力について
お二人にいろいろと聞かせていただきましたが、ずばり「リペアの面白さ・魅力」をどう感じていらっしゃいますか。
バッグが生き返るのが楽しいかなと思っています。あれもこれもね、さよならしないといけないというのはちょっともったいないので。捨てがちなバッグがリペアで生き返るのが楽しいですね。
一緒ですね。ボロボロだったものが自分の手で綺麗になっていくのが面白いなって思っています。
「コツコツやれる人」はリペアに向いている
ちなみにどんな人がリペアのお仕事に向いていらっしゃると思いますか?
コツコツする人だよね。集中力はそこまでなくても、とにかくコツコツできる人。あとは「手作業」が好きな人ですかね。こういう作業だったり、手を動かすのが好きという人です。
そうですね。私もそう思います。
なるほど。そうですよね。他にも向いている人の中でブランドがお好きな方も多いとも聞きました。お二人は共通して、ブランドバッグやブランドはお好きですか。
昔はすごく好きでしたね。
私はブランドが好きというよりは、工程が好きという感じですね。やっぱりブランドって手がかけられているじゃないですか。そういう工程が好きですね。
ありがとうございます。
リペアを担当する中で大切にしていること
最後に、リペアを担当する中で大切にしていることがあれば教えてください。
ちゃんと責任持ってやるということを大事にしてますね。私は手を抜かないというか、抜けない性格でして。完璧主義で完璧とまではいかなくても『このくらいでいいかな』でやるのではなく、自分の中でも納得がいくところまで責任持ってリペアをするようにしています。
私も一緒かもしれないです。新品のようにはやっぱりならないですが、納得してもらえる仕上がりまではちゃんと追求して仕上げていくという感じですね。例えばカラーリングだったら、中途半端に『この色でいいや』『ちょっと違うけど、この色でいいや』というところで妥協はしたくないです。
職人魂のようなものですね…!リペアシングではお客様対応も職人がされると聞いています。お客様とのやり取りの中で気を配っていらっしゃることはありますか?
そうですね。最初にお見積もりの段階で、『本当の新品みたいにはならない』というのは一応保険のためにもお伝えしています。やっぱり新品みたいになると思っていらっしゃる方もいて、それもLINEのやり取りをした時のニュアンスで分かるので。
文章を見ていて『このお客様は新品になると思っている』と思ったら『ムラになる可能性もあります』とは一応お伝えして、それで納得されてから修理を引き受けるので、ご依頼いただいたお客様からは『ありがとうありがとう!』と言っていただいています。
そういった形でお伝えしてコミュニケーションを取りつつ、並行してリペアもされていらっしゃるんですね…!
そうなんです…!やっぱりコミュニケーションが1番大事ですね。
皆さん、1人のお客様を一貫して1人で担当されるんでしょうか?
いえ、違います。みんなで分担していますね。LINE上に内容も書いてありますし、大体流れや定型文もあるので。
なるほど、そうしたら皆さんで担当していらっしゃるんですね。本当にチームですね!
そうなんです。なので、これからリペアをやってみたいと思って入られる方も、『この場合ってどうしたらいいの?』とか最初は聞きづらいと思うんですが、リペアシングはもう『ちょっと聞いて聞いて!』で聞けるような環境なので。それは初めての人でもやりやすいかなと思います。女の職場だからちょっと勘違いされそうだけど(笑) 和気あいあいとやっています!
ウェルカムだよね。いつでも聞いてもらえたらいいなと思っています。
だよね。(笑)
アットホームな感じですね!お二人の雰囲気からも和気あいあいとされているんだろうなと感じます。
そうですね。やっぱり楽しくやりたいんで。
素敵な職場ですね!
お二人とも今日はありがとうございました!
ありがとうございました!
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